今思えば、私は他人に対して過度な期待を抱いていたんだと思う。それがすべての失敗の元であった。
日本から辺境の地にアラビア語を学びに来た日本人の女の子、
皆が優しくしてくれて、助けてくれるに違いない。
同じ環境の日本人留学生も手と手を取り合って、みんなで切磋琢磨して留学生活を輝かせていこう!とかいう今思えば、恐ろしいほどの勘違いドリーマーである。
今の私ならわかる。
誰も助けてくれやしない、他人が自分に優しい言葉をかけてくれるなんて思いこんでいる時点で、バカ。痛すぎる。
誰だって必死で生きてるんだよ。貧乏な国で必死で生きている人間にとって、外国から来る留学生なんて、金持ってる道楽野郎で、ムカツク存在以外何もんでもない。
そりゃ憂さ晴らしに、チャンチンチョンいうわ、石も投げるわ、
金も騙しとるわ。
あの当時の私にあったら言ってやりたい。
他人に期待するな、他人が自分に優しくしてくれるなんて思うな、
常に、他人は自分に危害を加えるものだと思うところからスタートしろ、そうすりゃ、ちょっとしたことでもハッピーに思えるからねって。
ある意味、究極のマイナス思考である。
今では、他人は全て敵、信じる者は騙される、常に悪いことが起こると思ってすべての物事を悪く考えるようになってしまった。
シリアでの生活は、私の底辺のキャパシティーを膨大に広げてくれた。下には下がある。
ただ、このマイナス思考のおかげで、強くなれた気もする。
常にマイナスに考えることで、常にリスクヘッジを考え、多少の事では動じない、ふてぶてしい(冷静な?)今の私が形成されている。
そう考えると、4年間の地獄のような生活も無駄ではなかったと思えるような気がする。