シリア日記

クロたん死にました その3

(その2から続く)

ウワォオオーン、ウオオオーンって鳴いて吐きました。吐くのはよくあることだったので、ああ、また吐いちゃったのねって思って慌ててトイレットペーパーで拭いていたら、そのあと、さらにウァワアン、ウオオンって鳴いて、おしっこを全部漏らしたんです。

今まで20年間一度もトイレ粗相をしたことのない彼女が、飼い主の前でおしっこを全部漏らすなんて、ありえない。私もびっくり、クロタンもびっくり!っていう顔をしていて、この時に「ああ、もうダメだ」って悟りました。

その後、口で息を犬のようにしだして、何度も隅っこに隠れようとしましたが、無理やり彼女がお気に入りのねんねとバスタオの上に寝かせました。舌をだして苦しそうに口呼吸をして、ときたま苦しそうに唸って、足や手を伸ばしていました。

緊急で病院に連れていくかを考えたのですが、病院嫌いなこの子を無理やりケージにいれてタクシーで見知らぬ病院に連れていくか?そんな怖い思いをさせるのか?

2年ほど前に飼い猫をなくした友人が言っていた言葉を思い出しました。クロタンがてんかんの時にその人に相談したとき、彼は若くして死んでしまった病気の猫を何度も病院に連れて行ったそうです。「気が小さくて怖がる彼女を無理やり何度も病院に連れて行って結局は殺してしまった。あんなかわいそうなことはない、ものすごく後悔している。動物が病気になったときの選択は2つ。金に糸目をつけず動物病院で徹底的に医療を受けさせること、もしくは家で静かにみとってあげること、どちらかしかない。その時が来たら後悔ない選択をしてほしい」と。

クロタンも無類の医者嫌いでもうこれ以上怖い思いをさせたくないと思い、みとる決心をしました。とはいえもう私も涙が止まらず、苦しむ彼女を撫でてあげることしかできません。どうにかしてあげたい、と思ってももう何もしてあげられないという絶望。(もうこれ書いててもまた泣いてしまう)

9時に胃液のようなものをもう一度吐いて、その後どんどん息が浅くなって、最後はハッ・・・ハッと途切れ途切れの呼吸を数回して、目の瞳孔がぶわっと広がり、息が止まりました。1分弱心臓は動いていたようですが、ゆっくりと止まってしまいそれが9時31分でした。

猫にとって4時間も苦しんだことは地獄だったのかもしれません。今でもどうすべきだったのか正解がわかりませんし、思い出すだけで呼吸困難になりそうなほど悲しいです。

動物は人間と違ってどんなに年を取っても子供のような顔なのでいくら20年という他の猫の平均寿命以上に生きていたとしても子供が死ぬようなものです。クロタンは私にとって娘であり旦那でありかけがえのないものでした。

ペットをなくした人がみんなこんな思いをしているかと思うと、ぞっとします。(その4につづく)

 

 

 

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